上半期はグランドオープン案件の無かった「マルハン」グループ、出店戦略が変わってから４年目を迎える【パチンコ狂の詩】

『マルハン新加古川店』

「マルハン」グループにおける２０２４年３月期の売上高は１兆４３４４億円。言わずと知れたパチンコ業界最大手だ。そんなマルハンでは近年、出店戦略が大きく変わっていたことは周知の通りである。

マルハンにおけるグランドオープンといえば数年前まで「新築出店」が当たり前だった。それが「居抜き出店」メインへと舵を切ったのは、２０２０年末にガイアグループから『ガイア宮千代店』を取得した辺りから。

当時は、マルハンが既存ホールをＭ＆Ａで取得すること自体が極めて珍しいケースであり大いに驚かされたもの。加えて、同店はパチンコ機３２３台・スロット機２２０台（合計５４３台）の中規模ホールであったため「この規模のホールを取得して一体どうするつもりなのか」と不思議に思ったことをよく覚えている。

結局、翌２０２１年３月に『マルハン仙台卸町店』として屋号変更オープンを果たしていたことも記憶に新しいところだろう。以降はＭ＆Ａによる既存店の取得が一気に増える。なお、以下は２０２１年以降における「マルハン」グループのグランドオープン案件をまとめたものだ。

■2021年以降の「マルハン」グループにおけるグランドオープン案件一覧

２０２２年および２０２３年の２年間には計１２店舗がグランドオープンしているが、その内『マルハン新加古川店』を除く１１店舗が居抜き出店となっていた。マルハンといえば新築出店というイメージの強い私にとっては、正に「隔世の感が禁じ得ない」といったところ。

こうして業界最大手の出店戦略が変わってきていることは、業界関係者ならばむろん承知しているはず。そして本年もＭ＆Ａによる既存店の取得が続くものと予想していたが、２０２４年はここまでそうしたニュースは聞かれていない。

一方で、１月には宮崎県宮崎市にて新たな出店案件『マルハン南宮崎店』が健全化推進機構に登録されている。こちらは久しぶりの完全新築案件となる見込みで、２０２３年４月の『マルハン新加古川店』以来だ。カンパニー制を敷く「マルハン」グループにおいて、新築出店が西日本カンパニーに集中している点も興味深い。

更にこの度、宮城県仙台市にて『マルハン仙台国分町店』も健全化推進機構に登録されたばかり。この場所では『ダイナム宮城仙台一番町店』が営業していたが、本年３月２４日を以って閉店していた。状況からは居抜き出店とも映るが、果たしてどうなるものか。

いずれにしてもマルハンの新店が今年ようやく動き始めることは間違いない。無風だった上半期を取り戻すほどのインパクトに期待したいものである。